「私は素直ではない」

と言ってしまうのは、「私は嘘つきだ」と同じ自己言及のパラドックスだ。言えること自体が「素直さ」の表明になるので。そもそも「素直でない」人は、自分が「素直でない」ことを「素直に」認めることが出来ない。だから、驚くべきことに「あなたは素直じゃ無いね」と指摘されたり、自分に対して「自分は素直な人間か?」と問いかけた際、「いやいや、素直なところもある」と否定を経由して自分が(少なくとも部分的には)「素直である」と認めたりする。